今年も一年ありがとう記念。

2019年12月23日

諭吉でございます。


もう年の瀬も年の瀬、友人も仕事納めは済ませてやったと自慢げでした。
そんなわけで今年最後の作品、というわけでもないんですけど
100円シリーズとして最新作をリリースします。

人生で一番不幸な日。

と言います。

先日実に2年半ぶりに交通違反の切符を切られましてね。

釈然としないまま国家権力の前の善良な市民の無力さを悲観して、
ペンの力でストレスを発散するという暴挙なんですけど、
とてもいいのがかけたので、一年の最後に皆さんに読んでいただけたらなと思ったわけですね。

今年も一年、ありがとうございました。

諭吉としても、諭吉の中身としてもとても楽しく生きることができました。

以下試し読みです。pixivにあげたものと同じです。


『人生で一番不幸な日。』


ずいぶんと前のことになる。

あれは、確かまだ暑い夏の残り香が色濃い九月の半ばだったか。

僕は取ったばかりの免許で、安く先輩に譲ってもらった軽自動車に乗って、
知らない町を飛ばしていた。

すると、ある角を曲がったところで1人の女の警察官が僕の車を止めた。
晴れた、皮肉なくらいに晴れた真っ青な空に
彼女は1人で、赤色棒を振って僕の車を止めた。

窓を開けて、「何ですか?」と怪訝に聞いた。
交通法規を無視した覚えはないし、
何も咎められるようなことはないはずだ。

「この角左折禁止になったの知らないの?」

と彼女は高飛車に言い放った。

僕はそんな標識は出ていないから、
「そんなの知る訳ないじゃないか!」
と声高に言い返した。

人通りのない、今思うと何故そこで曲がろうと思ったのかもわからないような、うらぶれた川沿いの道だ。よくよく見ると街灯もろくになく、夜になればさぞかし暗闇に落ち込む通りだろうなと思った。

「ほら、反則金だしなよ。」

彼女はぶっきらぼうにそう言い放った。

「はあ?だから、そんな標識が出てないならその管理を先にしろよ!」

僕はそんな風に言った。

それにその場で反則金をせびられることなどありえない。

しかも女の警官1人で。

「なあ、あんた本当に警察?なんか怪しいんだけど。警察手帳みせてよ。」

と僕がいうと、彼女は

「何生意気なこと言ってんの?」

と開けた窓越しにこちらにすごんできた。

何だこいつ、と思って僕はハザードを焚いて
その場で自分の携帯に手を伸ばし、警察に電話をかけた。
この場所で現在、取り締まりがあるのかどうか、
直接罰金を受け取るようなことがあるのかどうか、
という確認をしなければどうにも納得がいかなかったからだ。

このラインより上のエリアが無料で表示されます。
彼女は僕のその行動を見るに目つきを変えて窓から中に手を入れてきて
腕を思いっきり窓の外に引き摺り出し、短いスカートから伸びた脚を思い切り振り上げて僕の腕をまたぐと、左脚の太ももを肘に引っ掛けて腕を曲げられない方へ思いっきり引き延ばしてきた。

めりっっ・・・

という腕の骨の軋む音と、凄まじい痛みが身動きの取れない僕を襲い、
僕は思わず携帯を持った手を離してしまった。

そして彼女はその携帯を取り上げると、
事もあろうに横を流れる川にためらいなく投げ捨てた。

ウギャアッッッ・・・・!!!

と叫んで彼女を睨み付けると、
「公務執行妨害。」

と彼女は腰元から本格的な手錠を出して、それを脚で絡めた僕の手首にかけて、車から降りるように促した。

車から降りると、彼女は僕の左手首にも手錠をかけて、
そのすぐ隣にある建物の中に僕を連れ込んだ。

ドアを入ってすぐ二階に上がる階段があり、
それが警察の施設ではないことは明らかで、
彼女はもうその一見警察官に見える制服の胸のボタンを開け、
帽子を取り払っていた。

「何なんだよ!!」

僕が彼女にすごんでも、両手の自由がないからか
彼女は全く意に介さずフンとその怒りのこもった僕の声を一笑に付して
取り合うこともしない。

階段を登りきると、そこは広い空間でソファが一つ。

そして他には何もない。
床は綺麗なフローリングで、埃ひとつなく、掃除が行き届いている。
外から中の様子は見えにくく、胸より高い位置に窓が並んでいる程度だった。

おそらくテナント募集中のフロアだろうと思ったけど、
彼女はそこに僕を連れ込むと、僕に地べたに座るように命令した。

「何だよ、これ外せよ!お前絶対警察官じゃないだろう!!」

僕がそう言って反抗すると、彼女は
「こんなスカート動きにくくって仕方がないな。」
と独り言を言い、僕に恥ずかしむ様子もなくその場でスカートを脱いで、
ハイヒールも脱ぎ捨てた。

そして髪の毛をおろし、水色のブラウスだけを着ている状態になって、
僕の近くに来ると、「だから何?警察じゃなかったら何か問題?」と、
詰め寄り、「じゃあお前の命令を聞く理由がないじゃないか!!」と言い返した途端、僕の頭は彼女の凄まじい速度の上段蹴りで蹴り抜かれていた。

ズバンッッ!!!!!

という命中した音が頭の中に響いてから、
こめかみが貫かれたような、脳の芯まで揺れるような痛みが襲って、
気づけば僕はフローリングの床に思いっきり体を打ち付けていた。

足が床から浮いたのを覚えている。

「ほら〜、生意気言わないでさっさと罰金払ってくれたらよかったのに〜。」

彼女が例えば、彼氏の家に遊びに着た女の子がブラウス一つで中は裸、みたいな格好のまま僕を見下ろしている。

ぐらぐらと揺れる頭で、僕はこの異常な状況を何とか噛み砕こうとしてなんども失敗している。天井には大きな扇風機みたいなのが付いていて、例えばここはレストランや喫茶店としての利用を想定して作られたフロアなのかなと、なぜかそんなことを思っていた。

体が言うことを聞かない。

彼女の目的は、おそらく言いがかりをつけてお金を巻き上げることだ。
それに関しては警察と何ら変わりがない。が、問題なのは彼女が警察官ではないということだった。

そして改めて彼女を見てみると、さっきまでは気が動転していてそれどころではなかったが、彼女は実に端麗な顔立ちをしている。スタイルも上々だ。
全く僕に恥ずかしむ様子がないから気にならなかったが、この子の裸を見れたのなら多少お金を払ってもいいかもしれない。

と、そんな気持ちにこっそりとさせてくれるくらいには可愛い女だった。

年の頃はおそらくハタチくらいだろう。
化粧っ気はないが、その肌艶はまだ若い女の子のそれだ。

腰に手を当てて立っている様が、
あまりにも艶めかしく、魅力的であった。

彼女は意識が朦朧となっている僕を見下ろしながら、
ねえねえ、と話しかけてきた。

「私ほんとの警察官だと思った?」

頭の回転がなくなった僕はとっさに言葉が出てこない。

「ねえ、無視とかうっざいんだけど。」

そう言って、彼女は僕の顔を素足で踏みつけてくる。
柔らかい足の裏に体重が乗せられて、顔を踏みにじられる屈辱ったらない。
見上げた彼女の下着は白で、ピンクのリボンが一つ付いていた。

「まあいいや。お財布もらうね。」

彼女は僕の顔から足を退けると、僕の尻のポケットに手を伸ばす。
彼女のハイキック一発で完全に伸されてしまったことに情けなさを感じながらその様子を朦朧と見ていたが、財布なんて取られてたまるか、という僕の貧乏魂がやっと火をふいた。

やめろ!!!

と言ったつもりが、実際に口からは「うおおおん!!」といううめき声にささやかな意思を持たせたような言葉がまろび出ただけだった。

が、僕は明らかに息を吹き返し、手錠で繋がれながらも生きている両手で彼女の手を掴み、上体を起こす。

彼女は、全く驚きも動揺もせず、僕のことをじろっと見つめると、
「離せ。」と短く警告した。綺麗な顔がキッと睨んでくると、年齢などには関係のないある種の迫力が生まれる。

掴んだ彼女の手首は、か細く、決して筋骨隆々の格闘女ではないということがわかった。そして至近距離で眺める女はやはりドキッとするくらいには美しかった。

そして、若い女が好むような香水に混じって、彼女自身のいい匂いがした。

しかし僕も黙って財布を取られるわけにはいかない。

必死に胡乱な口調で抵抗を試みる。
もうすでに僕の尻ポケットからは財布が抜き取られて彼女の手の中にある。

「返せ!!返せ!!!」

と言いたいが、残念ながら彼女のハイキックで強烈なダメージを負った僕の言語野が機能を再開するにはまだ時間がかかるらしく代替品として提供された言葉は「あうう!!あううう!!!」だった。

「もう・・・大人しくしてたらいいのに。」

彼女のある種僕を哀れむような視線が彼女の口元にほころんだ
慈悲の要素を含んだ微笑みに混じって、僕を一瞬怯ませる。

彼女は僕に掴まれた手首を僕に手首を掴ませたまま、自分の方へ引き寄せ、
そして器用に左腕と首の間に脚を通し、右腕はそのまま両脚の中へ招きこむように脚を広げながら自ら床に背中をついた。

僕は彼女の動作に体を強張らせて、何ら対処ができないまま、
尻をついた状態から彼女の下半身に体を乗せるように、招き入れられるがまま覆い被さり、うつ伏せに寝転んでしまった。

気がつけば僕の首には彼女のむき出しになった太ももがむっちりと巻きついている。夏の残滓がこのフロアには色濃く残り、彼女の匂いと、部屋の匂いが目の前で交差する。

彼女のブラウスははだけ、白い下着が眼下に広がり、綺麗なおへそや同じく白いブラがブラウスの下から覗けてしまう。

僕は右腕を彼女に取られるがまま、引き伸ばされまるで助けを求める犠牲者のように彼女の脚に絡められていた。

グチュ・・・・と、首の絞まる音がした。

「あぐっ・・・・!!!??」

彼女の太もももまたこの夏の残滓に当てられて、熱を帯びていた。
彼女の体温と僕の焦燥がもたらす体温の上昇が折り重なり彼女の内腿と僕の首は急速に熱を帯びて密着していく。

何をされるんだ・・・・。

この体勢は一体・・・・・?

「ふふふ、三角絞め。。太ももで絞められるって・・・苦しいよ?」



続きはこちら→『人生で一番不幸な日。

今回のイメージはこんな彼女ですね。
上品そうにも見えて、どんなことを考えているのかもわからない美人に
彼女の思うままに絞め落とされ続ける。身も心も無茶苦茶にされてポイ捨てされる。
というようなことですよ。

素敵ですねえ。M格闘ってのは。

では、また更新します。

諭吉でした。

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